とある患者さんが、ある日のスマープで
「いまは使っていないのに、家族から疑われる」と言っていました。
そのときに、臨床心理士の池畑さんが、このように説明していました。
「薬物やアルコール等の依存症の回復には順序があって
体から薬物やアルコールが抜けると、まずは体の状態が回復していきます。
つぎに、心の状態も、徐々に回復していきます。
周りからの信頼。これが、最後の最後に回復します。
一番最後で、時間がかかるものなんですよね」
体も心も、自分のものですので、回復の過程は、実感がともないます。
自分自身の回復と、家族や親しい人からの信頼の回復にかかる時間差に、
もどかしい気持ちを抱えている患者さんも、いらっしゃいます。
行動を疑われたり、監視されたり、制限されたり、それがもとで衝突したり、
反対に、疎遠になってしまったり、関係性が悪化して悲しい気持ちをしたり、
悩みやストレスを抱えている方も、いるかもしれません。
こうした葛藤は、依存症の回復の過程において、誰しも、起こりうることです。
まわりからの信頼については、相手があってのことですので、
直接、どうにかすることはできません。
ですが、あなたが歩みを止めない限り、いつかは少しずつ回復していくものです。
回復の道を着実に歩んでいるということを、大切な人に示す行動として、
・通院や服薬をつづけること
・自助グループ等に参加すること
これらは、とても有意義な方法です。
こうした「行動」は、言葉よりも分かりやすく、相手に伝わります。
もしも、家族や親しい人との関係に、思い詰めてしまうようでしたら、
「信頼の回復は時間がかかって当然のことだ」と、
フラットな気持ちでいるようにしてください。
(関わるのがつらいときは、可能ならば、少し距離を置きましょう)
そして、そんなときだからこそ、投げやりになることなく、
自分のいまの頑張りを、認めてあげてください。