回生病院からのお知らせ

2020年5月29日金曜日

信頼の回復


とある患者さんが、ある日のスマープで
「いまは使っていないのに、家族から疑われる」と言っていました。


そのときに、臨床心理士の池畑さんが、このように説明していました。


「薬物やアルコール等の依存症の回復には順序があって

 体から薬物やアルコールが抜けると、まずは体の状態が回復していきます。
 つぎに、心の状態も、徐々に回復していきます。

 周りからの信頼。これが、最後の最後に回復します。
 一番最後で、時間がかかるものなんですよね」






体も心も、自分のものですので、回復の過程は、実感がともないます。

自分自身の回復と、家族や親しい人からの信頼の回復にかかる時間差に、
もどかしい気持ちを抱えている患者さんも、いらっしゃいます。

行動を疑われたり、監視されたり、制限されたり、それがもとで衝突したり、
反対に、疎遠になってしまったり、関係性が悪化して悲しい気持ちをしたり、
悩みやストレスを抱えている方も、いるかもしれません。


こうした葛藤は、依存症の回復の過程において、誰しも、起こりうることです。


まわりからの信頼については、相手があってのことですので、
直接、どうにかすることはできません。


ですが、あなたが歩みを止めない限り、いつかは少しずつ回復していくものです。

回復の道を着実に歩んでいるということを、大切な人に示す行動として、

・通院や服薬をつづけること
・自助グループ等に参加すること

これらは、とても有意義な方法です。
こうした「行動」は、言葉よりも分かりやすく、相手に伝わります。


もしも、家族や親しい人との関係に、思い詰めてしまうようでしたら、
「信頼の回復は時間がかかって当然のことだ」と、
フラットな気持ちでいるようにしてください。
(関わるのがつらいときは、可能ならば、少し距離を置きましょう)


そして、そんなときだからこそ、投げやりになることなく、
自分のいまの頑張りを、認めてあげてください。